2026 年 5 月

5/2(土)

最近は Groth の A short course on \infty-categories を読んでいる.Cisinski を読んでいることもあってか,それなりに読みやすいと感じるので,これを読んだら(多分あと数日で読み終わる)そろそろ \infty 圏論を使っているような論文も読みたい.

古庄先生の pp 進多重ゼータ値の論文の二本目は普通に難しい.次の金曜日までにセミナーの準備が間に合うか分からない!

5/3(日)

今日は院生室に行った.朝から夕方まで誰も来なかったのでとても快適だった.大学に自分の席があるというのは素晴らしい(nn 回目).そもそも日曜日に数理棟に入るのは初めてだったが,あまりにも人がいなくて面白かった.

院生室の机の中に前の人が残して行ったものたちを整理していたら,個人情報満載の書類がたくさん出てきた.そんなものを置いて行かないで!

Deligne の P1{0,1,}\mathbb{P}^1 \setminus\{0, 1, \infty\} の 12 章を読んだら,何となく古庄先生の pp-adic MZV II の論文でやっていることの理解が深まったような気がする(というよりは漸くスタートラインに立てたという程度ではあるが).P1{0,1,}\mathbb{P}^1 \setminus\{0, 1, \infty\} 上の nilpotent connection の圏と pro-unipotent de Rham 基本群の Lie 代数 pdR\mathfrak{p}^\mathrm{dR} の冪零表現の圏が同値であって,それを通して KZ (pro-)connection が,(dtt),(dtt1)H1dR(X,Q)pdR\displaystyle \left(\frac{\mathrm{d}t}{t}\right)^\vee, \left(\frac{\mathrm{d}t}{t-1}\right)^\vee \in \mathrm{H}_1^\mathrm{dR}(X,\mathbb{Q}) \subseteq \mathfrak{p}^\mathrm{dR} をそれぞれ A,BQ ⁣A,B ⁣A, B \in \mathbb{Q}\langle\!\langle A, B \rangle\!\rangle による left multiplication で定まる gl(Q ⁣A,B ⁣)\mathfrak{gl}(\mathbb{Q}\langle\!\langle A, B \rangle\!\rangle) の元に送る表現に移されることまでは一応証明を追った.

その後は Besser の Coleman 積分論が必要になったので,再び Besser の論文を読み返していたが,前に読んだ時(数週間前だが)より良く分かった気がする.Coleman 積分で対数関数を形式的に添加したりしなかったりするのは円環上での積分を考えるか考えないかという違いだということが分かった.複素関数の気分だと,穴があればその周りをどんなに大きい円環で囲おうが対数関数からは必ず非自明なモノドロミーが出てくるが,pp 進ではそうではなく,residue disc の中の円環では確かに対数関数は変な振る舞いをする(そもそも解析的ではないので,形式的に添加する必要がある)のに対して,その residue disc を外れた他の residue disc では単なる微分方程式の解を Frobenius に沿って解析接続したものとして扱えるということのようだ.

こんな具合で,セミナーの準備には希望が見えてきた.

5/4(月)

微分方程式と接続に関してメモした.常識のようなことなのかも知れないが.

今日も古庄先生の論文を読んだ.(まだ詳細を追っていない箇所が複数あるが)Berthelot–Ogus comparison から得られる冪単 rigid 基本群と冪単 de Rham 基本群の同一視を通して rigid path と de Rham path を繋げたものを自然に二変数非可換冪級数環に埋め込むと pp-adic Drinfeld associator が現れるというところを読んだ.通常の MZV に於けるこれの類似(類似の方向が逆のような気がするが)として,de Rham path と Betti path を繋げて二変数非可換冪級数環に埋め込むと通常の Drinfeld associator が得られるというがあるらしい(同論文に書かれている).このような話は手品のようでとても不思議な感じがする.モチーフ的基本群が混合 Tate モチーフを生成していることを考えると,多分この話はさほど不思議ではない(寧ろ自然である)とは思うのだが,私はまだこの辺りの理論に詳しくないので,今は素朴に感嘆している.それにしても淡中圏という一見すると非常に抽象的で取り付く島の無いような formalism からここまで具体的な結果を引き出せるというのは面白い.このような例は抽象的な数学のあちらこちらに眠っているのだろうから,それを掘り起こせれば楽しそうだ.

Enriquez–Furusho の仕事群の存在を教えてもらった.面白いらしいので眺めてみたい.

風が強い.風が強すぎて駒場キャンパスが大宮に飛ばされてきたようだ.

5/5(火)

今日も古庄先生の論文を読んでいた.昨日詰めるのを後回しにしていた行間を埋めていただけなので目立った進捗はないが,進捗がないというわけではない.

夜は Cisinski のゼミがあった.3 章が終わった.

思い出話:中学生の頃,学校で漢文を習い始めて「白文,訓読文,書き下し文というものがあり,形式的操作によって訓読文を書き下し文に変換できます」と教わった時,ピュアだった私はこれを聞いて「なるほど面白い.では白文を訓読文に変換する操作はいつ習うのかしら?」と暫くの間ワクワクしていたものだった.

自分が有害な人間であること(を確信していること)を理由に人との関わりを避けるのは,他人のことを考えているようでいて,実のところは人間関係における責任を自分が負いたくないが為に適当な口実を付けてそれから逃げているだけであるということに気が付いた.いや,多分同じようなことにはもう既に何回も気が付いている筈なのだが.極度の自意識過剰なので常に自分のことばかり考えてしまう.