2026 年 9 月

9/1(火)

今日も Nakamura–Wojtkowiak を読み進めた.\ell-adic polylogarithm の関数等式に低次の誤差項が現れるのは pro-\ell fundamental group の Lie 代数が canonical な grading を持たないからだそうだから,これは motivic fundamental Lie algebra が定める非自明な extension class(つまり,KK 群の元)と関わっていると思うのだが,それらの間に何か直接的な関係を見出すことはできるのだろうか? ひょっとすると Deligne と Beilinson の Interprétation motivique de la conjecture de Zagier reliant polylogarithmes et régulateurs という論文に何か関連することが書かれているかも知れないので,Nakamura–Wojtkowiak を一通り読み終えたらこちらも読んでみたい.

P1{0,1,}\projsp^1\setminus\{0,1,\infty\} の面白さを手短に纏めた記事を書いても良いかも知れないと思っている.私が書けることはかなり限られているが……

9/2(水)

Nakamura–Wojtkowiak を少しだけ読み進めた.具体的なポリログの計算が始まった.それから,今更ながら Drinfeld associator の六角形関係式の意味するところを理解した.

今日はヴァイオリンがあった.バッハは難しいが楽しい.

Dupont の Progrès récents sur la conjecture de Zagier et le programme de Goncharov [d’après Goncharov, Rudenko, Gangl, …] というサーベイを見つけたので,これを読んでいる.どうやらポリログはかなり深い話と繋がっているらしい.普通の(即ち複素の)ポリログの関数等式と KK 群が云々という話が書いてあるが,これは私が昨日書いたことと関係あるのだろうか? ところで,ポリログに関する Zagier 予想について調べていたら現ルーマニア大統領の Nicușor Dan の論文に行き当たった:Sur la conjecture de Zagier pour n=4n=4.数学の博士号を持っているということは彼が就任した時に Twitter で少しく話題になっていたので耳にしたことがあったが,専門が数論幾何だったとは知らなかった.Wikipedia によると,指導教員は Soulé だったらしい.

étale polylog と pp-adic polylog はそれぞれ finite polylog と関係があるらしい(前者は Sakugawa–Seki,後者は Besser).

9/3(木)

引き続き Dupont のサーベイを読んでいた.数体の KK 群の計算結果から,それの上の一変数多項式環の KK 群も計算できるらしいので,それを用いれば数体上の (punctured) affine line 上の混合 Tate モチーフの淡中圏が無条件に作れるということを初めて知った.これは KK 群の一般的な性質によるらしいが,それをよく知らなかった.

Brown の Notes on Motivic Periods には意外と知らないことや雑に理解していることが書かれていて勉強になる.こちらも少し読んだ.

今までずっと自分のことは嫌いだし許せないと思っていたので,自己肯定感という言葉をうっすらと冷笑していたが,自分を肯定することというのは自分の行為に対する責任の所在を明確にする為の倫理的な要請なのかもしれないと漸く気がついて,今更ながら自己肯定感も大事なのかも知れないなと思った.自己肯定感を持とう!

9/4(金)

伊原先生の Braids, Galois Groups, and Some Arithmetic Functions という論文はどこもはリンクが切れているので読めなくて困っていたが,Wayback Machine にはスナップショットが残っていた.まだ最初の方しか読んでいないが,丁寧に書かれていて良い勉強になりそう.Grothendieck–Teichmüller 群の例の謎の関係式の幾何学的な導出方法(丁度知りたいと思っていた所だった)も詳しく書いてあって有難い.GQAut(F^(2))G_{\Q} \lra \aut(\widehat{F}(2)) の像が Z^××F^(2)\widehat{\Z}^\times \times \widehat{F}(2)' に含まれる理由を漸く理解した.

Dupont のサーベイは Zagier の予想の motivic な定式化のところを読んだ.まだあまり理解していないが,数体の Dedekind ゼータ関数の正整数での値がポリログを含むある行列式として表せるという Zagier の予想(s=1s=1 での類数公式の一般化)があり,それが混合 Tate モチーフの拡大が必ずあるクラス(logarithimic motive が生成する部分圏)に含まれるかという問いに言い換えられるらしい.数論は深すぎる.(多重)ゼータ値に関する motivic な理論は大体 Brown の仕事でひと段落してしまって,あとは超越数論的な絶望的に難しい問題ばかりが残っているという偏見があったのだが,まだ全然そんなことなくて,モチーフ論の範疇でも興味深い問題がたくさんあるんだなぁ.Goncharov と Rudenko の ζF(4)\zeta_F(4) に関する論文が気になってきた.

メモ:Bouis, Review of syntomic cohomology