雑記 — おもしろシリーズ

 なんとなく面白い事ごと,及びそれに対するコメント.語源などは Wiktionary に頼るなどかなり適当なので注意して下さい.

  1. アイスキュロス (Αἰσχύλος) はロシア語でエスヒール (Эсхил).
    別に不規則性はないが,短いので一瞬びっくりする.
  2. テアイテートス (Θεαίτητος) はロシア語でテエーテト (Теэтет).
    これも別に不規則ではないが,ギョッとする綴り.因みにフランス語では Théétète.
  3. episode の epi- は (素朴に想像するような形では) 接頭辞の epi- ではない.
    というと聊か語弊があるが,元々のギリシア語は ἐπεισόδιον = ἐπί- + εἴσοδος.接頭辞の ἐπί- は母音から始まる語に付くと ι が落ちて ἐπ- になる.⟨ει⟩ は伝統的に ⟨i⟩ で写される為,結果的に epi という綴りが現れている.
  4. папироса「巻きタバコ」はかなりパピルス (πάπυρος) っぽいが,直接の語源ではない.
    Wiktionary に依るとポーランド語の papieros が由来.papieros は papier + -os と分析でき,-os は cigarros からの類推で後から付けられた接尾辞.papier は paper と同じ語源でギリシア語の πάπυρος に遡るので,結局関係してはいる.⟨ie⟩ が ⟨и⟩ になっているのはどうしてだろう?矢張り πάπυρος の影響かしら?
  5. ⟨щ⟩ はドイツ語で ⟨schtsch⟩ と写される.
    борщ は Borschtsch (なにごと!).
  6. Altertum「[独] 古代」は綴りだけ見るとラテン語っぽいが歴とした本来語.
    -tum は英語の -dom に当たる抽象名詞を作る接尾辞.
  7. Böhtlingk and Roth: Großes Petersburger Wörterbuch の一般的な略称は PW.
    著者名ではなくそこを取るんかい.因みにこれは定評あるサンスクリットの辞典.
  8. 大阪大学出版会の世界の言語シリーズの第 1 番はスワヒリ語.
    すごい.
  9. Routledge World Languages シリーズの第 1 番は南ピーケーヌム語.
    すごい 2.
  10. 河合塾本郷校には実物の EGA がある.
    例の青い表紙の本.K 会の備品だが,にしても何故??
  11. 研究社露和辞典に載っている до- が付く動詞たち
    • домотаться: 出鱈目な行為で不快事を招く
    • дооткладываться: 何度も実行を引き伸ばして悪い結果を招く
    • допариться: (蒸風呂に長く入りすぎて) 気分が悪くなる
    • дописаться: 書きすぎて不愉快な結果を招く
    • допрыгаться: 飛び跳ねすぎて不快な結果を招く
  12. madrepatria「[伊] 祖国」
    patria がラテン語の terra patria「父なる地」に由来する語なので madrepatria は「母なる父なる地」?
  13. Պետրոսեան の Նոր Բառգիրք Հայ-անգլիարէն (古典アルメニア語辞典) には Միացեալ նահանք Ամերիկոյ「アメリカ合衆国」が載っている.
    用例はどこにあるのかしら?
  14. աւաղեմ (awałem)「[古ア] 憐れむ」
    日ア祖語に遡るに違いない.